その2へ続く
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社会保険労務士、行政書士西田事務所
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2004年某月某日  死亡時に社保未加入だった外国人労働者の遺族に遺族年金が支
             給されるのか(当事務所取り扱い事例ご紹介)

            民間保険ではありえない事でも
             社会保険では起こりえたという実話


  その1

 ある外国料理店にコックとして数年勤めていた人が、在職中に死亡した。


 何か補償は無いのかという相談が、死亡した外国人の代理人である日本人から、当事務


所に突風の如く舞い込んだ。

 事業主からはわずかな香典だけが支給されただけ。

 その外国人コックの仕送りを頼りに生活していた本国の妻と子供たち遺族が抜き差しなら

ぬ状態で大変困っているという。

 国際親善の意味からも何とかしてくれないか、というのである。
  
 そんな大それたことではなくても在職中ならば、外国人といえども社保加入が義務付けられ

ているわけだから要件さえ満たせば遺族年金が支給されるはずであると軽く考えていた。

 ところが、その店は、社会保険の適用事業所にはなっているものの、経営が苦しいとかの理

屈をつけて、一部の日本人労働者しか社会保険に加入させていなかったようで、当の外国人も

健康保険、厚生年金の資格取得をしていないことがわかった。




 ならば、個人で国民年金や国民健康保険に加入しているかもしれないと思って調べたが、そう

いうものにも一切、入っていないことがわかって、行き詰まってしまった。

 早々にお手上げである。これで、あきらめようとも思ったが、結論を下す前に立ち止まり、冷静

に考えてみることにした。

 死亡するまで厚生年金にも国民年金にもにも加入していなかった外国人労働者の遺族に対して

遺族年金が給付される可能性はあるのか、ないのか。

 問題はここからである。

 たしかに社会保険は強制加入である。

 雇用されている労働者の社会保険加入は事業主の義務であり、労働者の落ち度ではないことを前

提に、死亡後に遺族年金目的でさかのぼって資格取得させることはできるのか。
 
 
 だが死亡後の資格取得するということはさかのぼって保険料を最長2年分、払うということでもある。

 さかのぼっての加入が認められたとして、必要な保険料を払い、資格が回復できたとして、本当に

年金給付に結びつくものなのか。

 下手をすると保険料の払い損になるのではないか、その金額は日本よりも相当に後進の外国にい

る遺族からすると、莫大な先行投資となるのである。

          

                                   続く

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