2004年某月某日 死亡時、社保未加入外国人労働者の本国にいる遺族に遺族年金が支
給されることがあるのか(当事務所取り扱い事例ご紹介)
その2
死亡後の資格取得を否定する規定がないということがわかったので、生前にさかのぼって
の資格取得にチャレンジすることにした。
といっても、会ったこともない事業主に何をどのように話したらわかってもらえるのだろうか。
突然の見知らぬ男からの、うさんくさい電話だったはずであるが、社長は直接会うこと
を約束してくれた。
後日、指定の日時に店を訪問して、概略を説明した。
外国人といえども、日本人と同様の基準で社会保険に加入する必要があったこと、
突然、大黒柱を失った妻子は何の補償もなく、とても困っていること、
入社時に法律どおりに社会保険に加入していれば、本国の妻子に遺族年金が給
付される可能性があったこと、
当たり前の手続きをしてくれていればもらえたものを事業主の怠慢で貰えないのだから
遺族はこのまますんなり、あきらめることはしないだろう。
死亡後ではあるが、今からでも生前にさかのぼって資格取得すれば(最大2年前にさかのぼり)
年金支給の見込みがあるから是非、協力してほしいと。
実は、さかのぼって資格取得できたとしても遺族年金が必ず支給される保障はどこにもなかっ
たのであるが、そんな事を言えば説得は益々困難になるので一切触れなかった。
このとき、私は、弁護士法に反する発言をして後々問題にされることがないようにコトバを選
びながら話したと思うが、ここでは書けないが、ぎりぎりのきわどいせりふも使ったように記憶する。
仮に遺族が社長に多大の犠牲を払って外国にいながら裁判を起こし損害賠償請求して勝訴したとしても遺族年
金よりも随分少ない額しか受け取れないだろうことは素人なりに感じていた。
考えさせてほしいという社長のコトバを聞いて、その日は店を後にした。
感触としては五分五分かそれ以下というところであった。
続く